僕が初めて買ったオーディオ機器は、レコードプレーヤーであった。
アンプとスピーカーは、どこからか貰った物である。
一年くらいは貰い物で我慢をしていたが、そのうちに新しいアンプが欲しくなった。
しかし、オーディオ機器はかなり高価で、そうそう簡単には手が出なかった。
そこで安い物を探していると、自分で組み立てるアンプのキットが目に止まった。
メーカーはトリオで、日本の有名メーカーである。
今ではケンウッドと言うのかな。
アンプのキットはラックスというメーカーもあったが、僕はトリオにした。
ラックスは真空管で、トリオはソリッドステート式の高出力であったからだ。
トリオから発売されたアンプのキットは、ケンクラフトのブランド名である。
この会社のキットは古くから無線機があり、有名でもあったはず。
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1975年頃だろうか、今から40年くらい前の話でだ。
アンプにはプリアンプとパワーアンプの二種類があり、価格もお手ごろな数万円である。
ここに掲載したカタログによれば、プリが24,800円でパワーが37,800円で合計62,600円となる。
さっそく近所の電器屋に注文して、一週間ほどで手元に届いた。
このキットは調整済み基盤を使用しているので、組み立ては難しくないものであった。
リード線を各部に半田付けする事が主な作業であり、電気知識が乏しくとも組み立てられる。
忍耐力があれば、まず間違いなく完成する事が出来るものであった。
音質はどうか?
その頃は音が出れば満足で、自身の感度も良くなかったので正直よく分からない。
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ケンクラフトはオーディオ以外にも、自動車のワイパー制御装置とか風力計なども次々と発売を重ねていった。
そして、とうとう無線機まで発売になった。
僕は無線機が欲しくなり、これも安価なので買う事にした。
QS-500という50MHzのSSBトランシーバーで、終段はS2001だったと思う。
これを作ったのが初夏だったので夏のEスポで活躍したが、冬場はとても静かであった。
この写真は以前にどこかでパクッた物だが、ケンクラフトのキットは完成基盤式である。
したがってオーディオアンプと同様に、組み立ては簡単である。
価格は59,800となっている・・・
お金があれば良い物が買えたのだろうが、お金が無いがゆえに組み立てキットを経験できた。
僕は何かを作るのは好きな方であったので、それも楽しく感じていた。
その後に十数年経ってから、ミズホというメーカーの21MHzのCWトランシーバーを作った。
かなりチープな物だったので、ダイヤルをバーニア式に交換した覚えがある。
なお、僕はCW電信の免許を持ってはいるが、まったく使えないレベルの腕前なので・・・
しばらくして、知り合いに譲ったと記憶している。
知り合いは小さなアンテナを使って、海外と交信できたと喜んでいたが。