オーディオにある程度の関心を持ってはいたが、レコード針までこだわる気はなかった。
いや、そうしたいと思う気持ちはあったが、経済的な問題もあるので出来なかった。
たまたまB&Oのベオグラム4002を気に入ってしまい、レコード針の選択は不可能になった。
なにしろ、専用の針以外は使えないのだから。
だが、案外とこれは良いと思うようになっていた。
誰がどのように考えて設計したのか、そのような事を考えずに安心して使えると言うか。
音を追求する・・・
それは実験に他ならないと、僕は思っていた。
僕はある程度の高いレベルで、安定したオーディオを楽しみたかった。
あまり細かくこだわると、音楽そのものを楽しめなくなるとも思った。
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ある時に、何気なく話していた職場の年長の同僚が、実はもの凄いオーディオのつうであった。
これには驚きがあり、まさか田舎オヤジがオーディオに???
招かれて彼の家を訪問すると、土蔵を改装した広いオーディオ建屋がある。
これなら大音量でも近所迷惑にもならない、と言うか隣家ははるか彼方であるが。
そこで初めて聴いたのが、オルトフォンの音であった。
これはビックリした、とても静かな音で雑音がないのである。
もう凄いとしか言いようがない、僕はかなりの衝撃を受けたのであった。
彼は二つのオルトフォンを持っていたが、僕は大きい方の音が良いと思った。
型番の詳細は分からないが、僕が気に入ったのはSPUという長細いもの。
もう一つあった物は、サイコロのような短いやつであった。
僕もこういった良い音で楽しみたかったが、さすがに・・・
キリが無いと言うか、それは無理だろうと思った。
それにしても、オルトフォンの長いやつ。
あれは、ほんとうに良い音を出していたなと思う、今でも。