この暮れに来て、明るい話が出来た。
ちっとも嬉しくはないのだが、確かに明るい話なのである。
それは、近頃では珍しい・・・
多少は予想していたのだが、いかにも早過ぎるといった。
実は、いくらも使わなかった鍋の底に穴があいたのだ。
煮物の下茹でに野菜を入れた鍋をガスコンロに乗せて、しばらくしてチュンチュンと音がする。
この音は聞き覚えがある、そうだ水が垂れ落ちて蒸発する時の音だ。
だが、それにしても音が止まることなく繰り返された。
もしや、これは鍋底に穴が・・・
やはりそうであった、鍋を空にして光にかざすと絹針で突いたような小さな穴から光が見える。
これは先行き、明るい話であるな。
おおお、ついに鍋から光がさしたと、喜んでいる場合ではない。
この鍋は、100円ショップで冗談半分に買って来た物である。
見るからに華奢な作り、薄いアルミ無垢でアルマイト処理などしていないだろうと思った。
やはりそのとおりで、アルマイトなしであったから、一度で鍋肌が黒ずんでしまった。
長持ちはしないと思っていたのだが、それにしても十数回くらいで穴があくとはなぁ。
これで正月のレンコンでも茹でたら、ほんとに先が明るい話になる。
おかしくて、笑いが止まらない!!