このごろ何かの拍子に、手にしたはずの物を落とす事がある。
指先の感覚が鈍って来たのか・・・
ところで何故、いつも落としたものは、見えない所にばかり転がって行くのだろうか?
自分の前方に落としたはずの物が、どういう訳か後ろ側で見つかったり。
ああ、そっちはダメだと思っているうちに、ベッドの下に転がり込んだり。
ふと手が滑って落ちかけた物を、あわてて掴みなおそうとして弾いてしまったり。
いっそ、何もせずに落としただけなら、壊れなかったのにと悔やんで。
どこぞの誰かのように、じっと手を見ても、何にもならないと思うのだが。
僕の傍には、マクスウェルの悪魔でも居るのだろうか・・・
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人生、思い通りにならない事だと、なんとなく分かって来た。
それならば、反対に考えて行動しよう。
若い頃に、反対に考えて行動したところ、その反対になった例があった。
川原でBBQをしようと、ジャガイモと鍋を持って出かけた。
他には何の食材も持たずに、ただジャガイモを煮て食うだけのBBQだ。
まさか、そのようなBBQなんて、普通のBBQとは正反対のやり方。
ところが、この貧相なBBQは失敗したのである。
見知らぬ大勢のBBQ客が、次から次といろいろな食べ物を持って来てくれた。
おかげで、その場にいたどのグループよりも豪華な料理が目の前に並んでしまった。
また、ある花火大会でも・・・
花火なんて見るだけで良いと、道路に車を停めて空を眺めていた。
しばらくして、近所の別荘から若者が料理を持って来た。
たくさん作ってしまったので、良かったら食べて下さいと言う。
もう大皿に食べきれない料理をもらって、家に持ち帰るほどであった。
下心があればダメだろうが、本心で真逆の事をすれば・・・
その思いどおりにならないので、逆の結果になるものだと思った。
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ただ、それが幸せかと言えば、不幸な事だと思う。
シンプルに悲壮感を漂わせたBBQをしようと思っていたのに・・・、とか。
ちょうど、O.ヘンリーのパン屋の物語のように。