母が85歳の高齢で胃の全摘を行ってから、もう7年にもなる。
こんな高齢者が大きな手術をして大丈夫なのかと、とても心配したものだ。
もともと痩せ形で、さほど体力もないと思っていた。
しかし検査結果は手術に耐えられると言うので、予定通りに手術をする事になった。
ちょうど当時の今頃は、手術前の検査を始める日であったように思う。
胃袋を何分の一か切除した人が知り合いにいるが、全部切り取った人は知らない。
手術は医師の腕しだい、心配は術後の暮らし方である。
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6月になった翌2日、昼頃から手術が始まった。
夕方の4時半頃に手術が終わり、僕は医師から手術の説明を聞いた。
ステンレス製のバットに、切り取った胃袋が入っている。
胃袋の二箇所に、針金でくくった所がある。
それは、5/15に救急外来で入院した翌日に内視鏡で応急処置をした部分である。
翌日、母はぼやけた事を言っていたが、痛みは感じないと言う。
背中にチューブで麻酔をしているとの事で、かなり効き目があるのだろう。
夕方になると、ベッドから出て何歩か歩いたらしい。
その後は車椅子を押してもらい、院内を巡ったと聞いた。
なんだか、すごい元気があるなと思った。
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救急で入院して以来、食べ物は一切口にしていなかった。
手術後一週間経ち、何やらの食事が久しぶりに喉を通る事になる。
メニューはこのとおりで、現物は原形が分からないほどである。
なにしろ胃袋が無いので、あらかじめ形を無くしておかないとダメなのだろう。
もちろん手術後に始めて食べる物でもあるし、その後は徐々に形の分かる物になった。
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胃を全摘した者の食事は少量でなければならず、量を補うために食事回数を多くする。
これがとても厄介で、日に5~6回の食事を摂る事になる。
食事の用意をする者は当然だが、食べる者もうんざりするようだ。
我が家では通常の朝、昼、晩は普通の白米飯のご飯メニュー。
その間の食事は、パン、うどん、そうめん、ビスケットなど。
数日おきに和菓子や洋菓子などを代わりにして、目先を変えて飽きないようにしている。
また欠かさない飲み物として牛乳、他に代わりはヤクルト、ヨーグルトなど。
基本は柔らかく調理したものであるが、たまには普通の物も食べている。
だだし、その場合は極端に少量にして、添え物というような出し方である。
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調理の手間は、普通の物と柔らか過ぎる程に作る物の二重手間である。
白米飯は全く別に炊かなくてはならないが、他の物は調理の途中で鍋を移すだけでも出来る。
だから言葉で言うほどの面倒にはならないが、たしかに手間ではある。
世の中はダイエット流行りであるが、母に限っては正反対である。
胃を失くした者は太らないと言われるが、まったくそのとおり。
もともと少食で高齢ともなれば、体重を維持するのが大変である。
毎日計る体重を見ては、100gの増減にも一喜一憂している。
いくらカロリー計算をしても、食べられなければ意味が無い。
体重を目安にして次の食事を考えて、美味しく食べられるように工夫をしている。