こんな苦い瓜なんて、とてもじゃないが食べられない。
そう言ったのは、二十年くらい前の事だ。
職場の人が一切れ貰って口にした瞬間に、出た言葉である。
苦かったねぇ、それでなくとも僕は苦味に弱いから。
ビールも苦いから、あまり好きでなかったし。
あれから数回ほど、ニガウリを食べた事がある。
妻がどこからか貰って来たとか、たしかそのような時だと思う。
やはり、ニガウリは苦くて食べられず。
ニガウリを口にした後は、口に青臭い苦味が残っていた。
おかげで、何を食べても苦いような味で不味かった。
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最近になって、ここ数年の事であるが。
ニガウリの苦味抜きを工夫して、なんとか食べられるようになった。
5mm厚くらいにスライスしたニガウリに、砂糖と塩をまぶして数時間ほど置く。
ニガウリからたくさん水分が出たら、流水にさらして塩抜きをする。
これでだいぶ、苦味が軽減するようだ。
ただし、本当に苦味が減ったのか、じつはよく分からないのだ。
何度も苦味抜きを試しているうちに、僕自身が苦味に慣れてしまっていないだろうか?
だんだんと、そのような考えがわいてくる。
そして、とうとう苦味抜きをしないニガウリを食べて、確かめる事にした。
ニガウリを切って油炒めにするだけ、味付けは塩と醤油。
鶏もも肉をいつものように焼き、その脂でニガウリを炒めた。
ニガウリの下処理はスライスするだけで、他の事は一切していない。
食べてみると青臭さが強い、苦味は苦味抜きした時と同じくらいに感じた。
やはり、僕が苦味に慣れてしまったと思うような結果である。
ニガウリの苦味に慣れたのかなぁ・・・