小学低学年の頃に、オヤツとして味噌にぎりを食べた事がある。
白米の握り飯に味噌を擦り付けた物で、塩にぎりよりもずっと味が深い。
思い出してみたが、握り飯の白米飯はけっして暖かくはなかった。
考えればあたり前の事で、小学生が帰宅する時刻は午後3時あたり。
普通ならば、その時刻に暖かいご飯があるはずがない。
我が家の炊飯は一日分を朝に炊いていたので、午後には冷や飯になる。
保温式の炊飯器や電子レンジもない時代なので、朝食以外は冷えたご飯を食べていた。
寒い時期になると冷や飯は食べられないので、蒸し器でご飯を温めていた。
よその家ではどうなか知らないが、我が家の蒸かし飯は少し糠臭くて旨くなかった。
だから僕は蒸かし飯が嫌いで、あまり食欲も湧かずに少食であった。
せっかく炊き立ての朝ごはんは、学校へ行く時刻が迫って落ち着いて食べられないし。
今こうして思い出すと、僕は食べる事にあまり執着が無かったような気がする。
もちろん、それでも腹は減るのでそれなりにガツガツ食べたかも知れない。
オヤツに握り飯を食べる事は滅多になく、たいがいは特にオヤツは何も食べていなかった。
今の僕では信じられないが、あまり食べる事に執着が無かったのだろう。
年に幾度か食べた味噌にぎり、いつも冷えたご飯の握り飯だった。
ほのかな味噌の甘味と米の一粒ずつを感じながら・・・
ちっとも幸せだとは思わなかったが・・・
格別に旨いとも思わなかったが・・・
母が作る握り飯と祖母の作る握り飯は、見た目が同じようでも違いがある。
何がどのように違うのか今となっては言えないが、母の握り飯の方が好きだった。
明日あたり、味噌にぎりを作ってみたいと思う。