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僕の毎日を、思い出として書き残す。
何一つ役立つものはないが・・・

僕が小学生の頃に、母が肉詰めピーマンを作ってくれた。
その時に初めて、挽き肉を食べたと実感したと思う。

それまで挽き肉を食べていなかった訳ではないが、いつでも挽き肉は材料の一つであった。
たとえば、母の作るオムレツの具材に挽き肉が入っていたのである。
また他には、学校給食の副菜に何の料理か忘れたが使われていた。
しかし、初めて食べた肉詰めピーマンは、挽き肉がメインの料理に感じられた。

座りの良い形をしたピーマンをくり抜いて、中に挽き肉をタップリ詰め込んである。
小さなガラス瓶入りケチャップをスプーンに取り、ピーマンの上から垂らして。
ケチャップの赤色とピーマンの少しくすんだ緑色が、いかにも洋風料理だと言わんばかり。

さて、そのような思い出のある肉詰めピーマンを、久しぶりに作ってみた。
僕は肉詰めピーマンを子供向け料理であると考えており、今でもその考えは変わらない。
家庭で作る洋風料理に対する僕のイメージが、何故か子供向けとであると固定されているようだ。
理由はなんとなく分かるが、説明するには難しい気がする。

僕の肉詰めピーマンのイメージはともかく、さっそく調理を始めた。
冷凍庫に牛豚の挽き肉があったので、朝から自然解凍するべく常温に置いた。
解凍方法としてはよろしくなさそうだが、気にせずに・・・

みじん切り玉ネギを少し色づくまで炒め、塩・コショウで味付けをして冷ます。
挽き肉に冷ました玉ネギと卵を混ぜ、少しパン粉を加えてこねる。
挽き肉の粒々感が残るように捏ねるのだが、木ベラなどを使うのがちょうど良いと思う。
捏ね過ぎるとつまらない食感で、ただの出来損ないになってしまう。



挽き肉を捏ねる時に塩・コショウと、ナツメグを振りかける。
ようするに肉詰めの肉とはハンバーグなので、ナツメグを使うとグッと旨くなる。

次に、ちょっとした問題というか疑問が・・・
以前はどのようにしたのか覚えていないのだが・・・
ピーマンを半割にして作る時に、中身の肉が剥がれ落ちないような工夫が必要かどうかである。
これまでに僕が肉詰めピーマンを作った回数は、せいぜい5回ほどだと思う。
ピーマンを丸のままで、あるいは縦に割ったり横に割ったりして使った記憶がある。

肉詰めピーマンや逆の形態のスコッチエッグは、肉のはがれを防ぐのが一番の技だろう。
ただ何も気にせずに作ろうものなら、悲惨な事になると予想してしまう。

どうやれば良いのか分からないが、試しに天ぷら衣のような水溶き小麦粉を使う事にした。
まぁ、天ぷらにしてもピーマンやナスは衣が剥がれやすいのだが・・・
ピーマンの内側に水溶き小麦粉をドロッと流し込んで、余分を垂らし落として下拵えを終える。



今回のピーマンは縦割りにして、牛豚の挽き肉だけにギュウギュウと詰め込んだ。
いや、他の肉でもギュウギュウと詰め込まないと、きっとはがれてしまう。

肉の面を下にしてフライパンに並べ、中火から弱火でフタをして焼く。
意図せずかなり焦がしてしまったが、ちょうど煮込みハンバーグを作る時のように真っ黒だった。
だが、それほど焦がして焼くと香ばしく、食感も良くて上出来であった。




焼け具合は肉汁が透き通れば良いのだが、フライパンのピーマンを裏返す勇気が出ない。
不用意に裏返すと、肉がはがれてしまいそうで・・・
もう、仕方ないからこれまでの経験とカンで焼きを終えた。

肉汁と脂の残ったフライパンに赤ワインを入れて煮立て、豚カツソースとケチャップを混ぜる。
弱火でブツブツと泡立てばナツメグを振りかけ火を止めて、バターを加えて余熱で溶かす。
こうして出来たソースを、肉詰めピーマンにタップリかけて完成だ。



水溶き小麦粉の効果があったのか分からないが、肉がはがれずに済んだ。
右上の小さい物は母の分だが、縦割りして更に半分切りで肉詰めして焼いたが肉はがれ無しだ。
これ、何も工夫しなければ、絶対にピーマンが広がり肉がはがれると思うが・・・

久しぶりに食べた肉詰めピーマンであるが、やはり子供向けの気がしてならない。
母は懐かしく思い出したようで、何度か作った事があったと言いながら食べていた。
ちなみに、母が作った肉詰めピーマンにはナツメグは使われていなかったはずである。
ワインもたぶん使っていなかったと思うが、それでもたいそう旨かったのは確かである。

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