夕方になって、なぜかカレーを食べたいと思った。
僕の食べたいカレーは今流行りの漢方の煎じ薬のようではなく、ドロッとしたカレーである。
いつ買ったのか覚えていないが、食品収納庫にS&B「おいしさギューッととけ込むカレー」があった。
いつもなら、他にもカレールーがあるのだが、今日は切れ目になる頃だったようだ。
販促や特売で目立つ物があると、とりあえず買う事が多いその一品が「おいしさギューッととけ込むカレー」
初めて食べたのだが、これは不味いカレーである。
おいしさギューッと溶けるよりも、こちらが不味さに耐えてギューッと我慢をするほどだ。
前の東京オリンピック時代の頃のカレー味というか、現代で通用する味ではないと思う。
特にこの古臭い味を好むのなら別であるが、そうでなければ食べない方が・・・
あまりの懐かしさというか不味さに、当時を思い出してブルドッグソースを掛けてしまった。
そうでもしなければ、僕にはとても食べられなかった。
昔の大衆食堂のカレーはたいがいコクがなくて、塩味はあってもカレー味は薄かった。
スパイシーなんて言葉につながる風味もなく、黄色で風変わりな味だった。
だから、食べる者がソースや醤油を足して味を調えていた時代である。
家庭でも同様で、後にカレールーが売り出されるまでは食堂も家庭のカレーも不味かった。
それでも珍しい味に惹かれていたので、不味いと言ってもそれまでの和風味の数倍も旨く感じていた。
さて、今夜の残りカレーをどうしたものか。
あんな昭和レトロのような、いやもっと昔の文明開化の頃のような味の不味カレーの処置は。
明日は執行猶予という事にして、数日後のゴミ出しの日までに決めたいところだ。