昨日の昼食後しばらく経って、母が何やら食べ物を探している。
お腹が空いて我慢できないから、あれこれ食べたいと言う。
とうとう、母がそんなボケになってしまったのかと僕は落胆した。
この時の母の顔つきは、そして喋り声は、やはり異常を感じる。
30分間くらい過ぎたか、僕の話が少し分かったようだ。
母は自分が変であった事が分かったようで、でもまだ半分は信じていないような。
僕が思うには中途半端な認識のようだが、そこそこマトモに戻っていった。
そして母が呟いた、ボケるのは恐ろしい事だと。
自分では、昼食をロクに食べていないと、すっかり思い込んでいたとか。
こんな時には、いくら証拠があっても話は通じない。
食事メニューや残食量の記録表を見せても、食べていないと言い張るだけ。
前に服薬、点眼の事で大騒ぎになってからは、すべて記録をしている。
母が自ら服薬したと言う音声録音までして証拠を残し、騒ぎ立てるたびに録音を聞かせた。
今では薬については僕の言葉だけで納得するようになったが、それには一か月以上もかかった。
母が一言、人間は最後には、こうして分からなくなったりするのだなと。
まぁ、人それぞれだからなと、僕は思った。