千葉県は房総半島沿岸が発祥だと言われている「なめろう」だが、僕は食べた事がなかった。
房総半島という狭い所だが地域で違いがあるようで、僕の近所では酢に浸されている。
僕はこの酢が馴染めなくて、見ただけでダメだという気がしてしまう。
酢の物は嫌いでないから、自分で酢じめのイワシやアジを作る事もある。
よく考えてみると、酢じめになっていない生状態の魚を酢で食べるのがイヤなのだ。
いつであったか昔の事であるが、マグロの刺身を酢味噌で食べている人を見て嫌な気がした。
その時は見た瞬間に僕はゾクッとして、背中からブルっと身震いをしていた。
さて、一昨日は母の四十九日になると言い律儀な息子が帰って来た。
特別な法事はしないと決めてあったので、息子以外は誰も来なかった。
それで夕方になって、息子と二人して母の部屋で宴会をする事にして肴を作った。
ほとんど僕が調理したのだが、息子も一品だけ「なめろう」を作った。
少し前に「なめろう」作った事があると言うので、僕も初挑戦で食べてみようかと・・・
アジのたたきとイワシの刺身を作りついでに、「なめろう」用に数匹のアジを三枚にしておいた。
まな板の上でアジを細かく切って、そこに味噌と薬味を混ぜてトントンと音がする。
皿に小判型に伸ばして置き、包丁で碁盤目の切れ目を入れて出来上がり。
小皿に入れた酢を添えて、箸でつまんだ「なめろう」を酢にチョンとつけて食べるそうだ。
これなら僕も、たぶん食べられそうな気がする。
いざ食べてみると、口に入れた瞬間にブルっと来たが食べられた。
見た目も良く不味くないが、やはり酢が気になってしまい少ししか食べなかった。
鶏モモ唐揚げ、ラタトゥイユ、筑前煮、なめろう、アジのたたき、イワシの刺身、ミンクくじら刺身、ポテトサラダ。
2時間ほど台所で立ち仕事をしていたら、久しぶりなので足が疲れてしまった。
イワシは脂が乗っていて、息子は旨いを連発しながら興奮状態で飲み食いをしている。
ポテトサラダも好評で、普段より濃い味の鶏モモ唐揚げと相性がよかった。
なお、筑前煮は息子が作って持って来たものである。
さんざん飲み食いをして、まだ足りないという息子は五目チャーハンを食べている。
深夜になってからご飯の支度は面倒なので、冷凍品のチャーハンにした。
それから暫くして、息子は母の部屋で寝る事になった。