我が家のシャクヤクは二つの蕾をつけたが、一つだけしか花開かなかった。
去年までは少ない年でも三つは咲いていたのだが、今年はたったの一つである。
今年の開かなかった蕾は、もしかすると母の分であったのかと考えてしまう。
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それで、母がよく話していた事を思い出した。
母の知り合いが亡くなった年は、その家の花がたくさん咲いた。
また別な人が亡くなると、その家の果樹がたくさん実った。
またまた別な人が亡くなると、その家の農作物がたくさん収穫できた。
母は長生きしたので先に亡くなる人が多く、今では知り合いのほとんどがこの世にいない。
人が亡くなるたびに、花や果樹や農作物がどうであったと話を聞かされた。
だから僕は庭の果樹がたくさん生った年は心配で、我が家に凶事がない事を願っていた。
そして今、母が死に庭のシャクヤクはたった一つの花しか咲かせない。
このシャクヤクは母が20年ほど前に持ち込んだもので、初めの五年間くらいは葉っぱだけ。
まったく蕾をつけない事に呆れて、僕はシャクヤクの球根を掘り出そうと思ってしまう。
それでも邪魔になるわけでもなく、まして母の球根なので手をつけずにおいた。
ただ放置しておいただけだが、いつか一輪の大きな花が咲いて僕を驚かせたのである。
こんなに大きく綺麗な花が咲くのか、球根を掘り出して捨てなくて良かった。
それからは必ず幾つかの花を咲かせて、毎年のお馴染みになっていた。
さて、来年はこのシャクヤクがどうなるのか・・・